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店舗の広告宣伝費の金額相場は?宣伝費用を考えるための5つのポイント

「店舗の広告や宣伝って、大体月々いくらを払うのが妥当なんだろう?」と悩んでいる店舗経営者の方も多いはず。資金が潤沢にある大手企業であれば広告・宣伝にどんどんお金がかけられますが、小中規模の場合ですとなかなかそうもいかない…というところもありますね。

しかし広告・宣伝は、安定した集客を掴むためには必須のポイントでもあります。広告宣伝費を抑えすぎたあまり、新規開店をしても顧客を掴めずに経営に失敗…というパターンも珍しくないんです。

インターネット広告やチラシ宣伝等にかける適正な広告宣伝費を算出して、今後の宣伝戦略を考えていきましょう。ここでは各企業の広告宣伝費の相場、売上に対する広告宣伝費割合等を混じえつつ、広告宣伝費用の考え方を解説していきます。

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1.そもそも広告宣伝費とは?

広告宣伝
まずは「広告宣伝費にいくらかけるか」を考える前に、「広告宣伝費とは?」という点を抑えておきましょう。「広告宣伝費=広告チラシや宣伝のホームページを作るためにかかるお金のことでは?」たしかにこれは間違ってはいません。

しかし「広告宣伝費」とは単に「広告を作るお金」という意味の造語ではなく、れっきとした会計用語。不特定多数の人(誰とは決められていない人)を対象に自社・自店舗の商品・サービスを宣伝するために使用する費用のことは、ほぼ「広告宣伝費」に入ります。帳簿付けや税務申告等の経費申請等の際にも、「広告宣伝費」という項目があるんですよ。

会計用語としての「広告宣伝費」には、以下のようなものが含まれます。

広告宣伝費として認められる費用(広告の種類)

テレビコマーシャル(制作費用、広告掲載料)
新聞広告(広告制作費用、広告掲載料等)
雑誌広告
フリーペーパー・タウン誌広告
ポスティング(チラシ制作、ポスティング配布料金)
インターネット広告(リスティング広告、バナー広告等)
自社ホームページ(サイト制作料、運営料、システム利用料等)
メール広告配信(メール配信システム料等)
ブログ運営(SEO対策費用、ライター外注費用)
各種サイト登録(通販サイト登録、システム利用料等)
ノベルティグッズ(自社名・自社キャラクター等が入ったカレンダー・手帳の制作料等)
イベント開催(不特定多数を対象としたイベントの開催費用等)
ショップカード(制作料・印刷料) 等

例えば「常連の取引先だけを数人呼んだパーティー」の場合には、費用は「接待費用(交際費)」ということになりますよね。しかし「地域のイベントに参加し、誰でも入れる立食スタイルのパーティー形式にした」という場合には対象が「不特定多数の人」になり認知度貢献のための費用となりますから「広告宣伝費」という範疇として考えられることもあります。

また銀行や工場等が配った社名入りの手ぬぐい・タオル等を見たことがある人も多いはず。これも「不特定多数」を相手にしたものですから広告宣伝費の一種なんです。

2.企業・店舗の広告宣伝費の費用相場は?

費用相場
では上記のような様々な広告宣伝費、各企業における相場はどの程度なんでしょうか?日本における全ての業種の広告宣伝費相場は以下のようになっています。

≪広告宣伝費の費用平均≫
年間売上の5%~10%

平均相場で考えると、「売上の1割未満」が広告宣伝費の目安ということになるわけですね。ただしこの数値は、「大手企業」も含むものであること、また「エンドユーザー向けの宣伝を行わない企業」も含むという点には注意しておくべきです。

大手・新規企業ほど「対法人」の広告宣伝費が高くなる

規模が大きな企業になるほど、業界内での認知度のアップ、取引先との良好な関係の構築といった「企業間」での宣伝が重要になってきます。そのため対法人向けのイベント、冊子制作といった宣伝費用の率が高くなる傾向です。既に「一流メーカー」にまで上り詰めた企業であれば既に業界内ブランディングが確立しているため対法人向け宣伝が控えめになりますが、新規企業は大きく耐法人広告宣伝費に力を入れています。

個人・小中規模企業ほど「対個人」の広告宣伝費が高くなる

業種にもよりますが、小中規模の企業ほどエンドユーザー(消費者)による購買が売上を大きく左右するようになります。そのため小中規模企業・個人店舗等の場合には、対個人向けの広告宣伝費が総広告宣伝費の中で大きな率を占めます。

3.業種によって変わる広告宣伝費用

広告宣伝費の売上に対する占有率は、業種によっても大きく異なります。

化粧品関連:平均10%

ただしこれは大手メーカーも含めた数値です。通販専門メーカー等の場合、広告宣伝費に年間売上の30%~40%を投入している企業もあります。

健康食品:10%~15%

こちらも通販限定・小規模店舗ほど年間売上に対する広告宣伝費の率が高いです。商品認知度が低い、新成分を大々的に売り出すといった場合には年間売上の50%近くを宣伝に投じる企業もあります。

外食・飲食業関連:5%~10%

小規模の個人経営店舗(長期安定経営に成功している店舗)が積極的宣伝を行わないため、全体的には広告費用が低い傾向にあります。ただし新規オープン、開業5年目までの店舗等では広告宣伝費15%以上を投入し認知度アップに努めるケースも少なくありません。

サービス業(美容関連含む):15%~20%

エステサロン・ヘアサロン等の美容関連サービスや接客業務関連の広告宣伝費は他業種に比べて全体的に高い比率となっています。顧客の「イメージ」が消費に直結する業態であることが大きな理由です。

医療・健康関連:5%~10%

宣伝を積極的に行わない施設も多いため平均値はやや低め。しかし美容外科・美容皮膚科といった美容関連施設では、広告宣伝費割合40%~50%という驚異的数値を叩き出しているクリニックも珍しくない状態です。

不動産関連:4%~7%

大手ハウスメーカー等の広告平均値は約5%。ただし積極的なコマーシャル戦略を行う企業のバイアには8%程度まで広告費用をかけています。

教育関連:3%~5%

ブランディングが確立している老舗予備校・学習塾・スクール等が積極的宣伝を行わないため、数値は比較的抑えられています。新規開校、開校から間もないスクール等の合格率・資格取得率実績値が低い施設ほど、広告宣伝費割合が高くなる傾向です。

4.「認知度」で広告宣伝費割合を考える

自販機
上記のような各業種の平均広告宣伝費を見て、「では、うちの店舗の割合もこれくらいで…」と考える人も多いことでしょう。しかし広告宣伝費割合算出の上で重要になるのは、「認知度」の問題です。顧客側の企業(店舗認知度)、製品認知度が低ければ低いほど、店舗・企業側は積極的に宣伝を行わなくてはならなくなります。

実店舗の有無

実店舗が街の中にある場合、店舗の存在(看板、外観等)も一種の「宣伝」になります。例えば飲料業界の広告宣伝費割合は、平均3%~5%と比較的低め。これは「自販機」という「販売のためのアイテム」がそのまま「宣伝物」にもなっているからなんです。「コカ・コーラ」や「伊藤園」等の文字を、私たちは街の中で無意識のうちに目にしているんですね。

また各コンビニに置かれている「製品」自体も宣伝となっていますから、飲料系業界は意外と宣伝費用がかかっていない…ということになります。実店舗があるタイプの業種、手に取れる製品が他店舗でも取り扱われている企業等の場合には、このように「店舗・製品自体」が認知度を高める要素ともなるんです。

しかし通販専門の店舗の場合、このような「実店舗そのもの」による認知度アップは見込めません。その分、広告宣伝で見込客にアピールをしていく必要が出てきます。

実店舗の立地

「実店舗がある」と言っても、店前を通る人が少なければ認知度アップには繋がりませんね。また以下のような立地要素でも、店舗の認知度は大きく変わってきます。

【認知度が比較的高い店舗】
・駅前~駅徒歩5分圏内にある
・利用客の多い駅出口・バス停留所前にある
・店舗が1Fにある
・駅~主な商業施設(スーパー・商店街)の途中にある
・交通量の多い通りに面している

【認知度が比較的低い店舗】
・住宅街にある
・駅から徒歩10分以上かかる
・利用客が少ない駅出口側にある
・店舗がB1F、2F以上にある
・駅~主な商業施設(スーパー・商店街)の流れから離れている
・交通量の多い通りから一本以上離れている

近隣住民・通勤者による「近隣店舗の認知度」は、全店舗のうちわずか10%程度とも言われています。極端な話ですが、「駅の真上にある駅ビル内の店舗」でも、「3F以上/奥まった場所」という立地の場合「店の存在を知らない」という人が70%以上となることが多いんです。

店舗の立地が「人目に触れていない」という場所の場合、ポスティングや地域を限定したリスティング広告、地名を重視したSEO対策等による宣伝を積極的に行っていく必要があります。

開店してからの年数

新規オープンの店舗は、当然のことながら顧客の認知度は「ゼロ」という状態です。店舗に対するイメージも定まっておらず、また口コミやSNSによる波及といった「費用ゼロ」の宣伝効果等はこの時点では残念ながらほぼ見込めません。

飲食業・美容関連店舗(ヘアサロン・ネイルサロン等)の個人経営店舗の場合、開業1年目で顧客をどれだけ付けられるかが勝負どころとなります。既に複数店舗を経営している企業が「新基軸」の店舗を出店する場合、「1年目は宣伝費用で赤字」になろうと売上の20%~30%近くまで宣伝費用とする企業もあるほどです。これから新規店舗をオープンされる方の場合には、できるだけ余裕をもたせた宣伝費用の投入をおすすめします。

製品・サービスの新しさ

「日本人は新しいもの好き」と言われますが、実際にはそうでもありません。「流行りだしたもの」に対しては興味を引かれる人が多くても、「まったく目にしたことが無いもの」に対しては初動で不審感や拒否感を持つ人が多いのです。つまり「新たな分野を開拓しよう」というときほど、最初の宣伝が重要ということになります。

【新機軸製品・サービスの宣伝要素】
・権威者(専門家、研究者等)による効果・効能の解説
・インフルエンサー(人気ブロガー、インスタグラマー等)による体験や使用感想
・マスメディア(雑誌・新聞・テレビ等)による広告
・海外での評判、実績 等

上記のような「人気が出るだろう/流行るだろう」という一種の「確約」のイメージがつかないと、新機軸の製品やサービスはなかなか目が出ない…ということになります。「後追いではない新製品」を打ち出す時ほど、広告によるイメージ戦略が重要になってくるのです。

5.「年間の宣伝」を考えた広告宣伝費割合の算出

年間カレンダー
「月間売上が50万円とすると、15%としたら広告宣伝費は月々7万5千円か…」とざっくりと考えている人、意外と多いのではないでしょうか?でも広告宣伝費の算出では、「季節性の宣伝」も考慮に入れておく必要があります。ここでは例として「美容院・ヘアサロン」の宣伝で考えてみましょう。

1月イベント正月の着物着付け、ヘアセット
成人式の着物着付け、ヘアセット
3月イベント卒業式の着物着付け、ヘアセット
4月イベント入学式の着物着付け、ヘアセット
7月~8月イベント浴衣の着物着付け、ヘアセット
12月イベントクリスマスパーティ向けヘアセット 等

特に1月の成人式や夏の浴衣関連等は、美容院の収益に係る大きな要素となります。イベント関連は一見客が訪れやすい場でもあり、常連客を掴むためのポイントともなる部分です。これらのイベント前には3~4ヶ月前(成人式の場合には1年前以上の場合もあり)から集中的な季節性宣伝を始め、集客をする必要があります。

「月間15%」という算出方法では、これらの季節性宣伝の出費に対応しきれなくなってしまいます。季節性イベントとの関わりがどの程度あるかにもよりますが、以下のような業種の場合には特に「季節性」の広告宣伝費を考慮しておくべきと言えます。

【季節性消費の激しい店舗】
・ヘアサロン
・エステサロン(脱毛、痩身)
・教育関連(学習塾、習い事)
・飲食店
・アパレル関連 等

広告宣伝費の算出の際には、季節性の特別宣伝も含めた1年間の「総広告費」を考えながら目安を作っていきましょう。

おわりに

かつての日本では、「良いものを作り売っていれば、自然と人が集まる」という経営観念がありました。しかしネット普及によって情報が飛び交い、同時に多数の店舗や製品があふれかえる現代社会の中では、消費者は「ひとつひとつの製品・店舗を試しているヒマが無い」という状態になっています。消費者にまず「最初の一歩」を踏み込んでもらうために、企業側が宣伝・広告によって積極的なアピールをしていく必要があるのです。

宣伝広告費とは、店舗が「自店舗の製品・サービスの良さ」を知ってもらうための必要経費とも言えるでしょう。特にまだ認知度が低い店舗の場合、宣伝広告費への出費如何が今後の経営を決めることにもなります。「たかが広告」と侮ることなく、綿密な費用計算をしておくことが大切です。

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