サービスや製品を実際に使ったユーザーの声を集めた『お客様の声』は、マーケティングでは必須の存在とも言えます。今後の製品展開の方針を決める要素として使ったり、チラシやホームページに掲載して集客・売上アップの要とするなど、使い方も様々。特にWebマーケティングでの世界では『お客様の声』なくして売上・集客の改善は見込めないと言えるほどです。
しかし中には「『お客様の声』を集めようとしても良いものが集まらない」「アンケートの内容が正確ではない気がする」「サイトに掲載できるような感想が来ない」等、お客様の声の収集に困っている人もいるのではないでしょうか。
また『お客様の声』を掲載してみたものの、売上・集客に良い結果が反映されないという人もいることでしょう。『お客様の声』は、ただ集めて、ただ掲載すれば良いというものではありません。ここでは『お客様の声』の集め方や掲載について、やってはいけないNG例をまとめてみました。
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お客様の声のアンケートNG質問例
『お客様の声』を集める方法としては、紙面でのアンケート(アンケート解答用紙)、Webアンケート、口頭での質問(簡易インタビュー)などが挙げられます。ここではそのいずれの場合においても避けておくべき「アンケートNG」を見ていきましょう。あなたの会社のお客様アンケート、こんな風になっていませんか?
質問の数が多すぎる
例
設問数が20~30問以上もある
アンケート用紙が何枚もあるのが見える
アンケート1ページに質問がズラリと並んでいる
まず「アンケートの物量が多い」とお客様に感じさせるのは絶対にNGです。お客様にとって、アンケートは元々「面倒なもの」なのだということをわきまえましょう。
「アンケートをしてもいいですよ」と答えたお客様でも、そのアンケートが膨大なものであることをパッと見た瞬間「これは面倒そうだ」と感じてしまうはず。そうすると、質問内容もよく読んでもらえなくなりますし、回答も投げやりなものになってしまいます。
「お客様からの情報が欲しいから」と、アンケートを欲張ってしまうのは厳禁なのです。
「大型アンケート」はブランディングありき!
「他社で長いアンケートをやったことがあるけれど…」という人、それは人気のメーカーやブランドではありませんでしたか?
すでに人気を確立しているメーカー・ブランドの場合、「ファン」となっている顧客は積極的にアンケートに参加してくれます。特に人気ブランドでアンケートに答えれば特典がある…といった報酬があれば、長大なアンケートでも取り組むことでしょう。
しかしまだブランディングを確立していない会社・店舗の場合には、この真似をしてはいけません。いわば「アンケートの老舗」と「ビギナー」の違いがあるのです。
質問は最大で10問と心得る
店舗等で行う簡易的なアンケートの場合、設問は5~7問程度にとどめるのが理想的です。最大でも設問数は10問までに絞り込むようにしましょう。
1ページ内の質問は1~3問が基本
Webアンケートの場合、1ページの中で顧客に見える質問は1~3問程度にとどめましょう。5問以上の質問がある場合には、別ページに遷移してもらいます。「質問がたくさんある、たくさんスクロールしないと見えない」という状態にするのを避けることが大切です。
質問内容がかぶっている
例
問1.当店で好きなメニューはなんですか?
問2.当店の季節限定メニューで好きなメニューはありましたか?
質問の中に似たような質問や、顧客が同じ回答を繰り返すことになるような質問が混ざってはいないでしょうか。アンケート回答側は、同じような回答を繰り返すことになるとそのアンケートへの興味度が一気に下がってしまいます。
後半のアンケートの精度が悪くなったり、自由回答に答えてもらえなくなってしまう可能性も高くなるのです。
質問が曖昧過ぎる
例
- 当店のサービスはいかがでしたか?
- 当店の料理の味はどうですか?
- 当店のインテリアについて感想を自由にお寄せください。
お客様アンケートの中で、特にチラシやホームページに掲載しやすいのがアンケートの「自由解答欄」です。しかしこの自由回答アンケートの時に、あまりにも曖昧過ぎる質問ばかりを並べてはいないでしょうか。
「どうですか?」「自由に回答してください」と言われても、顧客は何を書いてよいのかわからず、戸惑ってしまうことになります。結局「良いと思う」「おいしかったです」等、シンプル過ぎる回答で終わってしまうことがほとんどなのです。
質問文が長すぎる
例
当店は1998年の創業以来、創業者であるT氏が作り出したデミグラスソースの味を守り続けてきました。しかし2020年からは二代目であるS氏によるメニュー改革を始め、新しい味にも挑戦し始めております。近年のメニューについてご感想がありましたら忌憚なくお寄せください。
質問がダラダラと続く
ユーザーにとって不要な情報が混じっている
質問が読みにくい
「曖昧な質問は良くないから」と言っても、ダラダラと長い質問文が繰り出されるのも良くはありません。質問だけで2行も3行も続くアンケート文では、顧客の方がウンザリとしてしまいます。
特に企業の歴史やこだわりについて等の「企業側の情報の押しつけ」をアンケートでやるのは絶対にNGです。それらをアピールするのは、積極的にホームページに来た顧客等、ポジティブな姿勢を持った見込み客に対してのみと考えましょう。
すぐ答えられない質問になっている
例
- あなたにとってアロマテラピーとは何ですか?
- 子ども時代の教育は人生にどの程度の重要性があると思いますか?
例えば「カレーとハヤシライスのどちらが好きですか?」と訊かれたら、すぐに答えられる人は多いですよね。その理由を訊いても、サクッと答えてくれる人は多いことでしょう。
しかし「カレーと日本文化の関係性についてどう思いますか?」と尋ねられたら、困ってしまう人がほとんどではないでしょうか。考えをまとめるのが難しいですよね。
「あなたにとって××とは~」といった大上段に構えた質問や、教育関連、人生に関わること等になると、人間は「即答ができない」という状態になってしまいます。原則として即答できない質問はアンケートに不向きです。
個人特定できる質問になっている
例
- 氏名(本名)を書かされる
- 住所を細かく記入する欄がある
- メールアドレスやLINEアカウントを書く欄がある
- 電話番号を記入させられる
- 個人情報記入欄が必須項目になっている
- 学歴を細かく尋ねられる
- 子どもの個人情報を細かく記入させられる 等
アンケートを行う時に担当者にもっとも気を使っていただきたいのが「個人情報」の扱いです。現在では個人情報についての法律は細かく定められ、消費者側も個人情報の扱いにデリケートになっています。
必要以上に個人特定ができる質問が多かったり、住所やメアド等を書かないと記入が完了しないようなWebアンケートを作成するのは避けるべきと言えます。その時点で顧客がアンケート回答を中止する恐れもあるからです。
顧客の属性で必要となるものは業種によって異なりますが、例えばザックリと次のように置き換えることもできます。
- 住所 → 居住地(××県まで、××市まで等)
- 年齢 → 年齢層(20代、40代、60歳以上等)
- 名前 → アカウント名や仮名、イニシャルOK等
「住所を書くのはイヤ」という顧客でも、「ある程度の居住地」であればOKという人はいることでしょう。また個人情報にかかわる点について回答したくない場合には「回答なし」でも良しとするなど、顧客側に立った対応をすることも大切です。
個人情報を取得する場合には?
本名・電話番号・メールアドレス等の個人情報を取得した場合、「個人情報保護に関する法律」を事前に担当者が理解し、その情報を適切に取り扱うことが求められます。さらにアンケート用紙・Webアンケートにも取得した個人情報の利用方法について明記する必要があります。
「後からDMでも送れるかもしれないから」といった安易な考えで住所を集め、適切な管理をしていなかった場合、法律違反となる恐れもありますのでご注意ください。
『お客様の声』掲載時にやってはいけないNG例
いくら『お客様の声』をたくさん集めても、掲載の方法が間違っていては集客や売上アップに繋げることはできません。ホームページやチラシに『お客様の声』を載せるときには、次のような点に気をつけましょう。
文章を整えすぎている
例
- 実際のお客様の声:A化粧水に出会えた時には気持ちがアガリすぎてヤバかった。使い心地きもちよくて最高~☆もうこれなしでは生きてけないくらいお気に入りです。ママ友のはなし信じてよかった。リピ決定!
- 整形後のお客様の声:A化粧水に出会えた時にはとても嬉しかったです。使い心地も最高で、とても気に入っています。友だちから紹介されたのですが、感謝しています。また買いたいと思います。
お客様の声の中には、文体が日本語として崩れているもの、文語体と口語体が混ざっているもの、カジュアルな文体になっているものなどもたくさん含まれます。誰もが上手に自分の感想を文章化できるわけではないので、これは当然のことです。
あまりにも文章として支離滅裂なものについては、多少文章を整えてあげることは必要でしょう。しかし上の例のように、あまりにも文章を整えすぎてしまうのは考えものです。
上の例の「実際のお客様の声」は、たしかにカジュアルではありますが、これが若年層向けの製品であれば「リアルなユーザーの感想」ともなるものでしょう。「整形後」のように整えすぎてしまうと、感情の動きが見えず、作り物っぽくなってしまいます。
具体性が無い感想を掲載している
例
この塾に通うようになってから息子の成績が改善しました。他ではダメだったので、とても助かりました。感謝しています。
上の感想は一見するときちんと文章は整っているのですが、具体的に「いつ」「何が」「どのように」改善したのかがわからないため、これを見た見込み客には訴えかけが少ないです。
曖昧な褒め言葉だけが連なった『お客様の声』は、読者に「うそっぽさ」も感じさせてしまいます。
このような場合、例えば他の質問に「入塾の時期」「具体的な成績の伸び方」などがあれば、それらから得た情報を付け加えて具体性の高い感想に整えることは可能です。
改善例
夏のお試し特別講習から通うようになりました。息子の二学期の数学の成績が「4」にまで改善しました。(一学期は2でした)他の塾では改善できなかったのに、スピーディに対処していただき、とても助かりました。感謝しています。
自由回答の欄の前にいくつか単純に答えられるような質問(この場合だと入塾時期、成績の伸び方等)を作っておくと、後から整形するための情報も収集しやすくなりますよ。
ネガティブ要素を削除しすぎている
整形前:新製品のトップス、赤と青の2点を買いました。青の方はイエベの私にはどうも色味があわず、顔が暗く見えてしまうので残念ながら返品。でも赤の方はなかなか映えます。夫に「5歳若くみえる」と言われて嬉しい~!高かったけど買ってよかったです。
整形後:新製品のトップス、赤を買いましたがイエベの私にとても映えます。夫に「5歳若くみえる」と言われて嬉しい!買ってよかったです。
整形後の例では、「青がイエローベースの顔色に合わず返品」「高かったけど」といったネガティブな要素が削除されてしまっています。一見するとこの方が「良い感想」に見えますが、残念ながら「ポジティブだらけのお客様の声」には信憑性がありません。
消費者は「何事にも良い面と悪い面がある」ということは無意識のうちに理解しています。ですから良い面ばかり(ポジティブな感想ばかり)を強調されると「ウソだ」「うさんくさい」と感じられがちなのです。
上の例の場合、青色が似合わないというネガティブ情報はあったものの、その分だけ「赤の製品がイエローベースの顔色に合い、若くみえる」というポジティブな情報の信憑性は上がります。イエローベースの女性であれば、「赤を買おうかな!」と思うことでしょう。
また他の感想に「私はブルーベースですけど青が似合った」といったものがあれば、青の製品の売れ行きもカバーできるはずです。ネガティブばかりの感想を掲載する必要はありませんが、ところどころにうまく「ネガティブ」を紛れ込ませ、読者から信頼を勝ち取ることは重要です。
「お客様の声」を上手に集めて売上アップ!アンケートの7つのコツ
集客・売上を伸ばす「お客様の声」👧 効果的に集める方法は特典が大切!
ホームページ・集客ブログに「お客様の声」が必要な理由は?5つの効果と掲載ヒント
おわりに
お客様の声の収集方法・掲載方法でのNG例を見て「しまった、やったことがある…」という方も意外と多いのではないでしょうか?
『お客様の声』を収集するにあたっては、漠然と感想を集めるだけではNGです。「その声を何に使いたいのか」「どのように活かしていきたいのか」を見据えて、戦略的にアンケートを作っていきましょう。
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