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UX(ユーザーエクスペリエンス)の意味とは?概念やUIとの違いを詳細解説

サイト運営等のWebマーケティングを行う上で、最近頻繁に見られるようになった言葉が「UX(ユーザー・エクスペリエンス)」です。しかし「マーケティングにはUXが重要」と言われて「なんだかよくわからない」と首を捻ったり、「UIとはどう違うんだろう?」と悩む人も多い様子。

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今回はUXについて、その概念やWebマーケティングでの重要性、UIとの違い等を詳しく解説していきます。

UX・ユーザーエクスペリエンスとは何?その概念と凡例

UXとは「ユーザー・エクスペリエンス(UserExperience)」を省略した言葉。ここで言う「ユーザー」とは、企業に対する「顧客」であったり、検索をかけるPC・スマホユーザーであったり、「人・人間(human)」を意味しています。「エクスペリエンス」は直訳すると「体験」ですから、そのまま訳すと「人の体験」ということになりますね。これだとちょっとわかりにくいので、「ユーザー体験」というところでしょうか。

ここで言う「体験」とは、製品やサービス等を通じて得られる体験全てを指します。「UX」という言葉はWeb運営等でよく使われるので「Web用語」と思われがちですが、UXは人間が体験するもの全てを総称した言葉なんです。例えば以下のようなものも「UX」にあてはまります。

【UXの一例】
ショッピングモールで買い物を楽しむ
レストランで食事をする
遊園地で遊ぶ
旅館に泊まる 等

また「UX」は実際の体験だけとは限りません。製品パッケージや商品名・映像予告等を見てその内容を予測したり、感情を掻き立てたれたことも「UX」となります。

【予測・想像等によるUXの一例】
いちご柄のお菓子のパッケージを見て味を想像する
旅行会社のパンフレットを見て温泉に行くことを想像する
「爽快シャンプー」という名前を見てスッキリ感を期待する 等

すべての商品・サービスにおいて、「ユーザー・エクスペリエンス(UX)」という概念は非常に重要なものとなります。ユーザー側視点の体験(UX)を満足させられるということは、すなわち「顧客を掴む」ということだからです。更にユーザーの求める体験(Experience)を提供することができれば、ユーザーはその価値を認め、高い単価を払うことも厭いません。UXを考慮したサービス例を見てみましょう。

【ユーザー満足度の高いサービス体験例】
ディズニーリゾートでのサービス
高級ホテルで飲む炭酸水
amazonのプライムサービス(バーチャルダッシュ、お急ぎ便等)

ディズニーリゾートのパスポート料金は他のアトラクションサービスに比較して高額と言われますが、人々は上質な環境・ホスピタリティのあるサービス・季節毎に変わるショー等に感動します。ユーザーは98%という驚異的なリピート率で再度ディズニーリゾートを訪れるのです。また高級ホテルやバー等で飲む炭酸水は、モノによってはスーパーマーケットやコンビニエンスストアでも買えるものですよね。

しかし人々は「上質なソファに腰掛け、美しいグラスで飲む」というユーザー体験(UX)によって、その行動に憧れたり、高いサービス料を払うことを否としないわけです。

 

Webマーケティングで「UX」が注目される3つの理由

ではなぜ今、サイト運営やWebマーケティングにおいて「UX」という言葉が頻繁に用いられるようになったのでしょうか?それには以下の3つの理由があります。

1.飽和したWebサービスにおける「差別化」の重要性

インターネットの普及とスマホの普及、更に大手ECサイト・大手企業サイト等のサービス向上によって、今やインターネット上で買えない・契約ができないものは無いという状態にまで到達しています。「ネットで買えるサービス・製品」が限られていた時代とは異なり、ユーザー側はより多くの選択肢を持つようになりました。

一種の飽和状態とも言えるサービス・製品供給の中で、ユーザー側が製品に求めるもの(価値)は「機能が良い」「性能が高い」というものだけでなく、「より楽しい」「より便利」「より快適」といった「体験」に傾くようになったのです。

  • 製品説明が丁寧で、原料の生産地からのレポートもある
  • 毎週タイムセールが行われ「掘り出し物が無いか?」とワクワクする
  • SNSで製品名+画像アップをすると次回の割引クーポンが貰える 等

機能・性能的にはほぼ同じ程度のサービス・製品であった場合、ユーザーにより良い「Experience」が提供できる企業は一歩抜きん出ます。つまりUXは「差別化」の重要なファクターとなるのです。

2.契約・購入アクションまでの段階変化

かつての消費者の製品・購入までのプロセスは「AIDMA」であると考えられてきました。

【消費行動を定義する「AIDMA」】

Attention(認知する)CM、雑誌、テレビ等によって製品・サービスを知る
Interest(関心を持つ)製品・サービスに対する興味関心度が高まる
Desire(欲求する)製品・サービスに対する購買意欲を持つ
Memory(記憶する)商品名・サービス名・ブランド名等を記憶しておく
Action(行動する)商品の購入・サービス契約等を行う

しかしネット普及後の消費者の契約プロセスでは、以下のような新たな定義「AISAS」が生まれるようになっています。

【ネット普及後の新たな定義「AISAS」】
AISAS

Attention(認知する)マーケティング広告により製品・サービスを知る
Interest(関心を持つ)製品・サービスに対する興味関心度が高まる
Search(探す)スマホやPCで検索をする
Action(行動する)購買・契約をする
Share(共有する)購買した製品・サービスに対する情報をWeb上にアップし、ユーザー同士で共有する

以前は各製品・サービスに対するユーザーの体験(感動)は、各個人の中に留め置かれるものであり、ユーザー間で共有することはなかなかできませんでした。

しかしSNSや口コミサイト等の普及によって、今では誰もが気軽に自分の「体験」を共有できるようになっています。

一人のユーザーが「Share」をさせた口コミ情報は、他のユーザーの「Search」の結果にも出るわけです。ターゲット層のユーザーを多く掴むには、各ユーザーに「満足した」「楽しかった」という体験をしてもらうことが重要というわけですね。

3.ユーザーが使用するデバイスの多様化

大手検索サイトである「Yahoo!Japan」の発表によれば、2011年の段階ではPCからの検索PV率が圧倒的に高く、スマートフォン・タブレット型コンピューターからのアクセスはまだ少ないという状態でした。しかしその後のスマートフォン・タブレットの伸び率は1年あたり750%~800%超えという驚異的なものとなっています。特に美容・ファッション・料理・飲食といったジャンルにおいては、スマホ検索がPC検索を淘汰している状態です。

ユーザーが使用するデバイスが多様化したことによって、ユーザー側が企業と接触するシーン・環境も多様化しました。例えば2000年初頭には一般的ではなかった「料理を作る段階になってからレシピを検索する」という行為ですが、今では「キッチンでスマホを使いながら料理」はごく平凡な使い方となっています。

レシピを画像やテキストで配信するだけでなく、よりわかりやすい「動画」でレクチャーするサイトが好まれるようになったわけです。様々なシーンにおいてユーザーが期待する「体験」を提供できる企業が生き残る時代となったと言えます。

 

UI・UXの違いとは?

UXと語る上で、頻繁に出てくるワードが「UI」です。中には「UI・UX」「UI/UX」と併記されていることもあり、UXについて「UI」と同じものと混同されているケースも見られます。しかしUIとUXにはかなり違いがありますし、混同するのは危険。UXとUIがどう違うのかを抑えておきましょう。

UIとは何?

UIとは「ユーザー・インターフェイス(Userinterface)の略称で、直訳すると「ユーザーとの接点、ユーザーとの接触面」といった意味合いになります。Webの場合、ユーザーとの接点とは「ホームページ(公式サイト)」や「ブログ」といった部分ですね。UIとはPC・スマホ・タブレット等によってユーザーが触れる「視覚的情報」の全てをまとめた言葉なんです。

【UIの例】
サイトの外観(デザイン)
サイト上に表示される画像
サイトに使われるフォント
サイトのカラー配色
ホームページの導線 等

では「優れたUIとは?」というと、例えば以下のようになります。

【優れたUIの例】
フォントや行間が読みやすい
カラー配色が美しい
カラー配色が目に優しく長時間見られる
スピーディーなアクションが行える
画像・イラストが美しい
問い合わせページや購入ページにスムーズに行ける 等

簡単に言えば、「見やすいサイト」「使いやすいサイト」「快適に使えるサイト」が優れたUIである、といった具合ですね。

UI=UXではない

「UX」の説明を読んでから「UI」の説明を見ると、2つはとても似通っているように感じられるのではないでしょうか。しかし「UIとUXは同じ」ではありません。UIは、あくまでも「PC・スマホから得られる視覚的情報」といった表層的な部分。UXでは、UIも含む「サービス全般の質」が問われるのです。UXは様々な要素を含むものであり、UIはその一つの部分ということですね。ちょっとわかりにくいかもしれませんので、ここでは「ECサイト」の例で見てみましょう。

【ECサイトでのUIとUXの違い】
画面デザインがキレイ→UIでなおかつUX
商品画像が美しく詳細がわかる→UIでなおかつUX
スマホでのPCでも快適に見られる→UIでなおかつUX
口コミページが見やすい→UIでなおかつUX
届いた商品の感想をSNSでシェアできる→UIでなおかつUX

商品について問い合わせをしたら丁寧な対応だった→UX
商品を注文したらスムーズに早く届いた→UX
商品の梱包が丁寧だった→UX
商品のメッセージカードが付いてきた→UX
商品のクオリティが高く満足できた→UX
商品使用後に快適に利用できているかと確認のメールが来た→UX

どうでしょうか?「UI」がサービス面の一部であるのに対し、UXが顧客の「経験・感動」を左右する多くの側面を持っていることが伝わるはずです。

良質なUXにUIは欠かせない

ユーザーの体験・感動である「UX」を良質なものにするためには、「UI」は不可欠であると言えます。例えば前述の例で、画面が見にくい・商品画像がハッキリしない・スマホだと拡大表示がしにくい…なんてECサイトであったら、ユーザーの多くは早々にページから離脱してしまうでしょう。

ユーザーとの接触面である「UI」が低品質である場合、ユーザーの「体験(Experience)」は非常に不快でなおかつ短いものとなります。「使いづらかった、見づらかった」という「体験」をしたユーザーを再度アクセスへと導くことは至難の業。「UXの一部だから」と「UI」を軽視して良いというわけではありません。

「UIのみ」でのマーケティングでは不足

では反対に「UIだけは良質」というサイトだったらどうでしょう?前述の例の通りに「UI」に含まれる部分が高品質で、その他のUXが低品質だった場合を想定します。

【低質なUX】
商品について電話問い合わせをしたが繋がらない
商品を注文してもなかなか届かない
商品の梱包が雑である
商品のクオリティが低い
苦情を入れたが対応が悪い

いかがですか?いくらUIが良質なものであったとしても、上記のようなサービスで不満足な「体験」をしたユーザーは「二度とその店舗や企業を使うまい!」と考えることでしょう。良質なUIによって「商品・サービスに期待をする」というUXが既にあるわけですから、失望感は更に大きくなりますね。ユーザーの不満や失望の口コミがシェアをされれば、他のユーザーもその店舗・企業を危険視するはずです。

「UIのみ」にマーケティングを限定したサービス・製品は、このような「片手落ち」を生むことになります。「UIさえ良ければ集客率・売上が上がる」という考えではなく、「UIを含むUX」を考えたマーケティングが必要とされるのです。

 

「良質なUX」を生むには「ターゲティング」が重要

ユーザー・エクスペリエンス(UX)は上記のとおり、UIをも一つの要素とするほどの多用な要素を含む概念です。そのため「UXを向上化させる」というと話が多岐に渡ってしまうため、そのコツをカンタンにまとめるというのは少々難しくなります。しかしUX(UI)向上のための「ヒント」として、「ターゲットの絞り込み」が重要であるということはまず抑えておくべきでしょう。

ユーザー・エクスペリエンス(UX)は「各ユーザーの体験」です。そのため以下のようなユーザー属性によって、製品・サービスの受け取られ方は大きく異なります。

【UXを左右するユーザー属性・要素】
国籍
性別
居住地
年齢
収入層
趣味
ライフスタイル
ファッションスタイル
食の好み  等

例えば「辛いものが大好き」という人にとって、激辛カレーを食べることは「素晴らしい体験(良質なUX)」となることでしょう。しかし辛いものが苦手な人には、そうとはなりませんよね。だからと言って「誰にでも好かれる味」にすれば、平凡なメニューしか出せなくなります。

「当店は激辛カレーがウリなんだ」とするのであれば、激辛を好む層がどこなのか?と考え、そのターゲット層を丁寧に絞り込んでいく必要があります。

年齢は?性別は?どんなデバイスを使うか?どんなシーンで検索をするか?誰と店に来るか?様々なターゲット層の「好み」を想定してサービスを作り上げることで、ターゲット層の心を掴み「リピーター層」を作っていくことができるのです。

 

おわりに

かつてのマーケティングでは、「製品そのもの」の機能や精度さえ良ければ売れるという考え方も根強くありました。しかしWebの発展によって、マーケティングは「ユーザー主体」のものに変わりつつあります。ユーザーエクスペリエンス(UX)を理解するためには、企業側・店舗側が「経営目線」を離れ、「ユーザー目線」に立つことも重要と言えるでしょう。

常に経営者側という人はいません。別の側面ではユーザー側(消費者側)にも立っているものです。消費者目線に立ち返りユーザーの「感動・体験」を理解することも、UXを向上させる大きなヒントとなるのではないでしょうか。

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